LLMOとは?SEOとの違いと企業が取り組むべきこと
この記事の要点
- LLMOとは、ChatGPTなどの生成AIの回答で、自社が正しく説明・紹介されるように情報を整える取り組みです。
- GEO、AIO、AEOなども、ほぼ同じ領域を指す言葉として使われています。
- 生成AIは、学習した知識と、検索で取得したWeb上の情報を組み合わせて回答します。
- 中心は「AIを攻略すること」ではなく、正確で一貫した情報をWeb上に公開することです。
- 回答は質問や時期によって変わるため、条件を揃えて繰り返し確認する必要があります。
LLMOとは
LLMOとは、ChatGPTなどの生成AIの回答で、自社が正しく説明・紹介されるように、Web上の情報を整える取り組みです。「Large Language Model Optimization」の略で、日本語では「大規模言語モデル最適化」と訳されます。
たとえば、生成AIに「〇〇株式会社はどんな会社?」と聞いたとき、古い事業内容や誤った所在地が答えられることがあります。「〇〇業界でおすすめの会社は?」と聞いたとき、自社がまったく挙がらないこともあります。LLMOは、こうした状態を確認し、改善するための取り組みです。
GEO・AIO・AEOとの違い
同じ領域を指す言葉として、次のような呼び方も使われています。
| 呼び方 | 正式名称 | 主に使われる文脈 |
|---|---|---|
| LLMO | Large Language Model Optimization | 生成AI全般の回答への対応 |
| GEO | Generative Engine Optimization | 生成AIを使った検索サービスへの対応 |
| AIO | AI Optimization | AIへの対応全般 |
| AEO | Answer Engine Optimization | 質問に直接答える検索体験への対応 |
GEOという言葉は、2023年に発表された研究論文「GEO: Generative Engine Optimization」で提案されたものです。呼び方は違っても、対象はほぼ同じです。言葉の違いにこだわるより、何を確認して何を改善するかに注目するほうが実務的です。
LLMOの中心にある考え方
LLMOは、AIの仕組みの裏をかいて、自社を不自然に推奨させる技術ではありません。中心にあるのは、顧客に対して誠実な情報を、AIにも正しく読み取れる形で公開することです。
会社情報、サービス内容、料金の考え方、事例、専門知識。これらを正確に整理し、継続的に発信してきた企業ほど、生成AIの回答でも正しく扱われやすくなります。
LLMOが重要になった理由
LLMOが重要になったのは、情報収集の入口が検索結果だけでなく、生成AIの回答にも広がったからです。
AIの回答だけで比較が終わることがある
従来の検索では、検索結果に並んだ複数のサイトを開いて、内容を見比べていました。生成AIでは、複数の情報をまとめた回答が最初に表示されます。比較の候補選びが、AIの回答の中で済んでしまうこともあります。
その回答に自社が挙がらなければ、比較の候補にすら入れません。挙がっていても、説明が古かったり誤っていたりすれば、誤解されたまま検討が進んでしまいます。
Googleの検索結果にもAIの回答が表示される
Googleの検索結果には「AIによる概要」が表示されることがあり、「AIモード」という対話型の検索機能もあります。検索結果の上部にAIの回答が表示されるため、従来の検索結果だけを見ていては、ユーザーが受け取る情報の全体を把握できなくなっています。
知名度が低い企業にも機会がある
一方で、生成AIは、質問の条件に合う選択肢を幅広く探して回答します。ニッチな条件の質問であれば、知名度が低い企業でも、適切な選択肢として紹介される可能性があります。
ただし、そのためには、自社の強みや対象、提供条件といった情報が、Web上で読み取れる状態になっている必要があります。
生成AIが回答を作る仕組み
生成AIの回答は、主に「学習した知識」と「検索で取得した情報」の2つから作られます。どちらに頼るかは、サービスや質問の内容によって変わります。
生成AIが回答に使う2種類の情報
- 過去に収集されたWeb上の文章などから学習
- 学習した時点より新しい情報は含まれない
- 一度学習された内容は、すぐには変わらない
- 質問を受けてから、Web検索などで情報を取得
- 最新の情報を反映できる
- 回答と一緒に、参照元のリンクが示されることがある
学習した知識
生成AIのモデルは、大量の文章を学習して作られています。学習の時点でWeb上にあった情報は、回答の材料になることがあります。ただし、学習した時点より後の情報は含まれず、一度学習された内容をすぐに修正することもできません。
検索で取得した情報
最近の生成AIサービスの多くは、質問を受けてからWeb検索を行い、取得した情報をもとに回答を作ります。この場合、回答の横や下に参照元のリンクが示されることがあります。
この仕組みでは、検索で見つけてもらえるかどうかが、そのまま回答の材料になるかどうかに影響します。たとえばOpenAIは、ChatGPTの検索機能に表示するサイトを集めるために「OAI-SearchBot」というクローラーを使っており、これをrobots.txtでブロックしたサイトはChatGPTの検索回答に表示されないとしています。
Googleの「AIによる概要」の場合
Googleは、AIによる概要やAIモードに表示されるために、追加の要件や特別な最適化は必要ないとしています。ページがインデックスに登録され、検索結果でスニペットを表示できる状態であることが前提です。そのうえで、これまでのSEOの基本的なベストプラクティスが引き続き有効だとしています。
つまり、少なくともGoogleの検索に組み込まれたAI機能に対しては、SEOの土台を整えることが、そのままLLMOの土台にもなります。
SEOとLLMOの違い
SEOとLLMOは対象と評価の単位が違いますが、正確な情報を公開するという土台は共通しています。
| 観点 | SEO | LLMO |
|---|---|---|
| 対象 | 検索結果での表示 | 生成AIの回答での説明・紹介 |
| 評価の単位 | ページ単位 | 複数の情報源をまとめた回答 |
| 主な情報源 | 自社サイト | 自社サイトに加え、外部サイトの掲載情報 |
| 結果の安定性 | 比較的安定している | 質問や時期によって変わりやすい |
| 成果の測り方 | 表示回数・クリック・問い合わせ | 回答での説明内容・紹介の有無・参照元 |
特に違いが大きいのは、外部サイトの情報の影響です。生成AIは、自社サイトだけでなく、業界メディアや比較サイト、求人サイトなどの情報もあわせて回答を組み立てます。自社サイトを直しても、外部サイトに古い情報が残っていると、回答に反映され続けることがあります。
SEOの基本については「SEOとは」で解説しています。
LLMOの進め方
LLMOは、まずAIの回答の現状を確認し、そこから改善すべき情報を特定する順で進めます。
LLMOの基本的な進め方
- 01回答を確認する対象のAIと質問を決め、条件を揃えて確認
- 02原因を特定する誤り・不足の原因になっている情報源を探す
- 03正解情報を整える会社・サービス・料金などの正確な情報を決める
- 04公開・修正する自社サイトの更新、外部掲載の修正依頼
- 05再確認する同じ条件で回答の変化を確認する
1. AIの回答を確認する
まず、どのAIサービスで、どんな質問をしたときの回答を確認するかを決めます。質問は、大きく次の3つの観点で考えると整理しやすくなります。
AIの回答を確認する3つの観点
- 指名会社名やサービス名で聞いたとき、正しく説明されるか
- 比較「〇〇のおすすめは?」などの質問で、紹介されるか・どう扱われるか
- 引用元回答の根拠として、どのサイトの情報が使われているか
生成AIの回答は、同じ質問でも毎回少しずつ変わります。1回だけ確認して判断するのではなく、条件を揃えて複数回確認し、傾向を見ることが大切です。
2. 原因を特定する
回答に誤りや不足があった場合は、その原因になっている情報源を探します。示された参照元を確認すると、自社サイトの古いページや、外部サイトの古い掲載情報が原因になっていることがよくあります。
3. 正解情報を整える
会社名、読み方、所在地、事業内容、サービスの対象、提供条件など、AIに伝えたい正確な情報を決めます。社内で表現が統一されていないと、Web上の情報もばらつき、AIの回答も不安定になります。
4. 公開・修正する
整えた情報を、自社サイトに分かりやすく公開します。具体的には次のような作業です。
- 会社情報やサービスページの内容を、最新の正確な情報に更新する
- よくある質問に、対象・条件・費用の考え方などを明記する
- 構造化データを、画面に表示している内容と一致させて追加する
- 外部サイトに古い情報が載っている場合は、修正を依頼する
5. 再確認する
更新した後、同じ条件で回答を再確認します。生成AIが新しい情報を反映するまでには時間がかかることがあるため、一定期間をおいて確認を続けます。
LLMOの注意点・よくある誤解
LLMOは新しい分野のため、効果が確かめられていない手法や、誤解を招く説明も少なくありません。取り組む前に、次の点を押さえておいてください。
AIの回答での紹介は保証できない
生成AIの回答は、質問の仕方、時期、利用するサービス、ユーザーの設定などによって変わります。「必ずAIに推奨されるようにします」といった約束は、誰にもできません。できるのは、正確な情報を公開し、その結果を継続して確認することです。
llms.txtだけでは不十分
llms.txtは、サイトの概要や重要なページの場所をAI向けにまとめるファイルとして提案されている形式です。ただし、すべてのAIサービスが利用しているわけではありません。Googleも、AI機能に表示されるために、AI向けの特別なファイルを作る必要はないとしています。
llms.txtは補助的なものと考え、まずはサイト本体の情報を整えることを優先してください。
AIをだます手法は逆効果になる
AIにだけ見えるように宣伝文を埋め込む、自社に都合の良い比較ページを大量に作るといった手法は、検索エンジンのスパムに関するポリシーに違反するおそれがあります。発覚すれば、検索結果やAIの回答での信頼を失うことにもなりかねません。
自社サイトだけ直しても終わらない
前述のとおり、生成AIは外部サイトの情報も参照します。自社サイトを更新しても、求人サイトや業界メディア、過去のプレスリリースなどに古い情報が残っていると、回答に影響し続けます。外部の掲載情報も、あわせて棚卸しすることが大切です。
企業が今取り組むべきこと
LLMOのために最初に取り組むべきことは、特別な施策ではなく、自社の基本情報を正確に整えて公開することです。
LLMOの第一歩として確認したいこと
- 会社名・読み方・所在地・事業内容が、サイト内で統一されているか
- サービスの対象・内容・提供条件・費用の考え方が、ページに書かれているか
- よくある質問に、比較検討で聞かれる内容が含まれているか
- 検索エンジンがサイトを読み込めない状態になっていないか
- robots.txtで、検索用のAIクローラーまでブロックしていないか
- 外部サイトに、古い会社情報やサービス情報が残っていないか
- 主要な生成AIで自社名を質問し、回答の内容を確認したか
これらは、SEOや営業活動にも役立つ基本的な整備です。LLMOを特別な施策として切り離すのではなく、自社の情報を正しく伝える取り組みの一部として進めることをおすすめします。
外部の専門家に依頼する場合の判断基準は、「LLMOコンサルの選び方」で解説しています。
よくある質問
LLMOとGEOは違うものですか。
呼び方が違うだけで、ほぼ同じ領域を指して使われています。どちらも、生成AIの回答で自社がどう扱われるかを対象にした取り組みです。言葉の違いより、何を確認し、何を改善するかに注目してください。
LLMOに取り組めば、AIの回答で必ず紹介されますか。
保証はできません。生成AIの回答は、質問の仕方や時期、利用するサービスによって変わります。できるのは、正確な情報を公開し、AIが参照しやすい状態を整え、その結果を継続して確認することです。
llms.txtを設置すればLLMOは十分ですか。
十分ではありません。llms.txtは、AI向けに情報の場所を示すファイルとして提案されている形式で、すべてのAIサービスが利用しているわけではありません。サイト本体の情報を正確に整えることが先で、llms.txtは補助的なものと考えてください。
SEOとLLMOは、どちらを優先すべきですか。
多くの場合、両方の土台は共通です。会社情報やサービス内容を正確に公開し、検索エンジンに正しく読み込まれる状態を作ることは、どちらにも効果があります。まずは共通の土台を整え、そのうえでAIの回答を確認するのがおすすめです。
出典・参考資料
- AI 機能とウェブサイト(Google 検索セントラル)
- Overview of OpenAI Crawlers(OpenAI)
- GEO: Generative Engine Optimization(arXiv)
- The /llms.txt file(llms-txt)
- 構造化データの仕組みについて(Google 検索セントラル)
- 有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成(Google 検索セントラル)